栄養満点!見た目はラヴリー!冬の新野菜 伊万里産「プチヴェール」

「プチヴェール」という野菜を知っていますか?
その名のとおり「プチ(小さい)」な「ヴェール(緑)」、なんですが、なんのこっちゃと思ったアナタ、こちらがそのプチヴェールです!お湯でさっと茹でると、その緑の鮮やかさが増します!

「プチ」は「小さい」、「ヴェール」は「緑」、「小さな緑」という意味のフランス語。(生まれは静岡県!)さぁ「ヴェ」の発音に気を付けてご一緒に…「プチヴェール!」

「プチ」は「小さい」、「ヴェール」は「緑」、「小さな緑」という意味のフランス語。(生まれは静岡県!)さぁ「ヴェ」の発音に気を付けてご一緒に…プチヴェール!

1990年に静岡県で開発されたプチヴェールは、青汁に使われる“ケール”と“芽キャベツ”の交配から生まれた野菜です。

注目すべきはその栄養価の高さ。ビタミンC、カロテン、鉄分、カルシウムの含有量が特に高く、カルシウムは牛乳の4倍カロテンはかぼちゃの6倍も含まれています。糖度も11~13度とフルーツ並み!

「うまーい!」でおなじみのテレビ番組でも取り上げられた、今注目の「うまーい」新野菜なんです。

実はここ伊万里市で5年ほど前からプチヴェールを栽培している農家さんがいます。
毎年12月頃~3月中旬まで、二里町八谷搦の農産物直売所「四季の館」に出荷していますが、残念ながら今年は長雨と寒さの影響で全国的に不作だそう。

伊万里でも例年の2割弱の収穫量で、週に2回ほどしか出荷できないそうです。そのせいか今年は「限定感」が加わり、プチベールファンも「見かけたら即買い!」しているので、なかなかお目にかかれません。幻の野菜化しています。

四季の館に出荷された、プチヴェール1袋180円(税込)。あっという間に売り切れてしまいます。

四季の館に出荷された、プチヴェール1袋180円(税込)。あっという間に売り切れてしまいます!

今年は未だ対面できずにいるのですが、豊作だった昨年、旬のプチヴェールを畑で見ようと、生産者を訪ねました。

いざ東山代町へ(去年だけど!)。迎えてくれたのは伊万里湾一望の絶景!

伊万里市の西端、長崎県松浦市との県境にある東山代町。

市街地から国道204号線を楠久方面へ。右手に伊万里湾を望む「楠久津(くすくつ)」の交差点から山側の県道に入ると、さっそく山越え。急こう配、急カーブが続いて、後部座席の子供が「ママ~気持ち悪い」と言い出します。

10分程進むと、急に海側が開け、息をのむような絶景が広がります!(運転者はよそ見注意!)
このあたりの標高は約400メートル。市街地から20分ほどでこの絶景に出会えるのは、深く切り込んだ湾を高い山が囲む伊万里の地形ならでは。

「飛行機の上みたい」子供もうれしそう。

竹の古場公園に向かう県道5号線から見える伊万里湾!くねくね道をヒヤヒヤで運転したご褒美はこの絶景!

さらに山間の道を進むこと15分。
周囲を山に囲まれ、谷沿いの緩やかな斜面に畑や田んぼが並んでいる、東山代町滝野地区。ここで待っていてくれたのは、プチヴェール生産者の幸松伝司(こうまつ つたし)さんです。

「わざわざ遠くまで~」。

市街地から約40分。同じ市内でもこの言葉がしっくりくるんだなぁ…などと考えながら、さっそく軽トラックに乗り込み畑へ向かいます。途中、幸松さんが少し先の民家を指さし、一言。
「あそこはね、長崎県。」

ここはまさに伊万里市西端なんだ!

のどかな風景が広がる滝野地区。綺麗な水と澄んだ空気で育まれる「お米」の産地としても知られる。

のどかな風景が広がる滝野地区。綺麗な水と澄んだ空気が育む「お米」の産地としても知られる。

プチヴェール!その知られざる生態に迫る⁉(ただ畑に見に行く!)

「か、かわいい!」

8アール程の畑には約300本のプチヴェールが栽培されています。
その姿がなんともかわいい!
高さ50センチのバオバブの木というか、茎の伸びたブロッコリーというか、下に人形を置いて、ミニチュアのまちを作ってピッタリ、という具合。なんとなく、キャベツや白菜の畑を思い浮かべていたら、思っていたのと全然違う!気持ちよく裏切られました!

定植は8月下旬、寒さが厳しくなると溜め込んだデンプンが糖に変わり甘みを増す。12月~3月中旬まで収穫できる冬野菜。

定植は8月下旬、寒さが厳しくなると溜め込んだデンプンが糖に変わり甘みを増す。12月~3月中旬まで収穫できる冬野菜。

茎の部分にポコポコとくっついているのがプチヴェール。 大きさはゴルフボールほどで、茎の部分に次々になり、1つの苗から50~80のプチヴェールがとれるそう。

茎の部分にポコポコとくっついているのがプチヴェール。 大きさはゴルフボールほどで、茎の部分に次々になり、1つの苗から50~80のプチヴェールがとれるそう。

初対面なのにそう感じさせない、プチヴェール生産者の幸松さん。他にもアントシアニンたっぷりの赤い大根やじゃがいも、黒米など珍しい農産物を多数生産している。

初対面なのにおしゃべりが弾む!プチヴェール生産者の幸松さん。他にも、アントシアニンたっぷりの赤い大根やじゃがいも、黒米など珍しい農産物を栽培しています。

プチヴェールが農家を救う⁈栽培しやすい野菜が秘める可能性

子どもと一緒にプチヴェール収穫初体験です!
手でもぐように簡単に収穫できます。ざるに並んだ姿もかわいらしい!

見た目は結球していない芽キャベツ。葉はフリルのようで、全体はコロンと丸くかわいらしい!ひとつひとつ収穫するのも楽しい!

見た目は結球していない芽キャベツ。葉はフリルのようで、全体はコロンと丸くかわいらしい!ひとつひとつ収穫するのも楽しい!

「霜にも強いし、ひとつひとつが軽かでしょう」

じつはこの「栽培しやすさ・軽さ」こそがプチヴェールのもう一つの良い点、と幸松さんは言います。
例えば、玉ねぎやかぼちゃの収穫はその重さが大きな負担となり、農業を続けたくても続けらず廃業する高齢の農業者が多くいるそう。

その点プチヴェールは、寒さにつよく、管理や収穫が楽。農家が生涯現役でいられる救世主にもなりえる野菜のひとつとして期待がよせられているのです。

「まずは自分が軌道に乗らないと、人には勧められないからね。」

ところが、今年は栽培開始以来初めての不作。
「そんな年もあるかな。来年は安定するように、ハウスをやってみようかと思って。」

自然が相手の農業、毎年が勉強で苦労と工夫の繰り返し。小さな野菜一つに、生産者の苦労や思いが込められている、と改めて感じます。

「安心=からだにいい=おいしい」野菜を目指して

プチヴェールの畑をよく見ると、畝(うね)と畝の間には雑草が生えています。

「ほったらかしみたいなもの」と笑う幸松さんは、色々な野菜で農薬に頼らない栽培にも取り組んでいます。
プチヴェールも夏に虫が多発する時期に1度だけ薬で防除し、それ以降は農薬を一切使いません。
「マイエンザ」という、納豆、ヨーグルト、ドライイーストなどから作る「微生物活性酵素」を虫や病気の防除に使っているのです。

雑草もプチヴェールも元気な畑!環境にやさしい酵素「マイエンザ」は、家庭でも簡単に作れ、消臭、品質保持、汚れ落としとして使える優れもの!

雑草もプチヴェールも元気な畑!環境にやさしい酵素「マイエンザ」は、家庭でも簡単に作れ、消臭、品質保持、汚れ落としとして使える優れもの!幸松さんは小学校や伊万里公民館でマイエンザ教室も開催しています!

さらにプチヴェールの外葉は実よりさらに栄養価が高く、グリーンスムージーにぴったり!
実の生育のために切り落としてしまう外葉を活用できないかと、離乳食や介護食に使いやすいパウダーや加工品として商品化を目指しています。

プチヴェールのパウダーを使ったおかゆの試作品。現在、新製品の開発中だそう!離乳期の子供を持つママの助けになること間違いなし!

プチヴェールのパウダーを使ったおかゆの試作品。現在、新製品の開発中だそう!離乳期の子供を持つママの助けになること間違いなし!

プチヴェールを開発し、苗を栽培・販売する「MASUDA(増田採種場)」のHPより。栄養価の高さにビックリ!

プチヴェールを開発し、苗を栽培・販売する「MASUDA(増田採種場)」のHPより。栄養価の高さにビックリ!

外葉を使ったスムージー!苦みやえぐみはなく、飲みやすい!早く飲みたくて、ミキサーにかける時間が短かったので、若干粗めです。

外葉を使ったスムージー!苦みやえぐみはなく、飲みやすい!早く飲みたくて、ミキサーにかける時間が短かったので、粗めのスムージーに…。もっとなめらかにもできます!

小さいくせに、デキるヤツ、プチヴェール!肝心のお味は…おいしいです!驚くほど甘い!

幸松さんおすすめの食べ方を聞くと、やはり軽くゆでてマヨネーズ!間違いなし!
普段はシチューや野菜たっぷりちゃんぽんに葉をばらして使ったりもしているそう。

天ぷらもおすすめ。食べてみると、サクッとした食感と香ばしさのなかに甘みが引き立ち、箸がとまらなくなります。
これは昨年取材後に何度も作ることとなったヒットメニューです!
お母さん達に嬉しいのは、すぐに火が通り色も鮮やかなので、お弁当にもぴったりなこと。なかなか手に入らないのが悔しい!もっと食べたい、使いたい!

幸松家の食卓パート①「プチヴェール&パプリカ入りちゃんぽん」

幸松家の食卓パート①「プチヴェール&パプリカ入りちゃんぽん」

幸松家の食卓パート②「プチヴェール(紫)入りシチュー」

幸松家の食卓パート②「プチヴェール(紫)入りシチュー」

シンプルイズベスト!プチヴェールの天ぷらは子供もモリモリ食べる大ヒットメニューです!

シンプルイズベスト!プチヴェールの天ぷらは子供もモリモリ食べる大ヒットメニューです!お弁当にもぴったり!

「体にいいからといって、我慢してまで食べるんじゃなくて、見た目もきれいで、おいしくて、安心して食べられるものを作りたい」と幸松さん。

顔の見える野菜、という表現がでまわっていますが、幸松さんのプチヴェールには「こころの見える野菜」という言葉がぴったりなのでは、と感じました。

その晩、食卓に並んだプチヴェールを子供たちと食べながら、農家、消費者、野菜そのもの、畑、すべてにむけられた幸松さんの優しいまなざしを思い出しました。

 


 

今年は残念ながら全国的な不作でなかなか手に入らない「プチヴェール」ですが、パウダーなどの加工品も開発中!これからも目が離せません!
幸松さんのプチヴェールは3月頃まで週に2回ほど「四季の館」に出荷されています。是非1度ご賞味ください!

MASUDA 増田種苗場(本社 静岡県磐田市)
http://www.masudaseed.com/item-putitnae.html

JA伊万里農産物直売所「四季の館」

伊万里市二里町八谷搦1250
電話:0955-22-2581

ABOUTこの記事をかいた人

さとう まいこ

伊万里在住2年目。二児の母。 無類のビール好き、お気に入りはヒューガルデン! 好きな妖怪はぬらりひょん。 最近悔しかったことは、ドラえもん将棋で子どもに負けたこと。 伊万里のおススメスポットは国見台公園プール、夢みさき公園遊歩道、波多津ふれあい広場のカキ焼き。 元MRT宮崎放送テレビ制作ディレクター。